2004年01月12日 (月) 成人の日
蒼い果実
「お父…様…?」
ギィ、と低く呻くような扉の音と共に現れた父、ギャロウェイの表情を見た一瞬、ジョナは我が父の姿を疑った。
父の様子が、いつもと違うもののように見えた。ジョナにとって、それは何ものにも表現し難い、しかし何かおぞましいもののように見えたのだ。
それを否定するかのように、彼女は激しく2、3度瞬きをする。
そしてその後、その視界に写ったギャロウェイの姿はというと、いつもと変わらぬ父の姿であった。
「どうか、したのかな?」
「い、いいえ…!」
ギャロウェイは娘が一瞬見せた動揺を見逃さなかった。その様子を伺うかのように、ゆっくりと、一歩、一歩と愛娘に近付く。
「私はどうやら嫌われてしまったようだね…?」
その言葉にジョナは視線を背けた。父の言葉が嘘ではないからだ。
逸らした視線の外で、父が長く息を吐く音が聞こえる。
その音が、ジョナのすぐ側に寄った。
ギャロウェイはジョナの隣に腰を下ろす。
ジョナは縫いぐるみを抱くその腕に、さらにきつく力を込めた。
「レディがいつまでも子供のオモチャで遊ぶのはよくないね」
ジョナはその言葉で初めて父の顔を見た。
「だってこれはお母様がくれたも−」
ジョナの言葉が、途切れた。
ギャロウェイの唇が、ジョナから一切の言葉をもぎ取った。